第2メディア通信

雑多な情報社会をより雑多に楽しむ次世代メディアブログ

吉田コラム

情報氾濫の今だからこそモンド

 

観客の見世物的好奇心に訴えかける猟奇的なモキュメンタリー映画の事をモンド映画という。1962年に公開され、日本でも大ヒットしたグァルティエロ・ヤコペッティの『世界残酷物語』の原題が語源だ。内容を見ればスプラッタや人種差別、やらせ映像のオンパレードで、現代的視点から見ればもはやなんらかのお笑いのようともいえる。ドキュメンタリーとは事実に基づいた取材を前提にするものという考え方の基では、映像は美しくとも事実をうたいながらやらせ全開のモンド映画に現代的意義は無いように思える。しかし、果たして本当にそうであろうか。

インターネットが隆盛の時代となり人々はいくらでも簡単に情報を手に入れられるようになった。もはや猟奇的なもの、刺激的なものを手に入れるために映画館まで行かなくてもよくなったのだ。そうした中で、情報が本当か嘘か、有益か無益かの判断はより個人に大きく委ねられるようになった。世に流れるドキュメンタリーと謳うものはノンフィクションと謳いながらもその中には筆者の恣意的な意図が確実に混ざっている。モンドは今世の中に氾濫している状況なのだ。

そうした中で、我々は情報といかに向き合っていけばいいのであろうか。その答えは私も今すぐに結論を出せない。しかし、清濁併せ飲み、モンドをモンドとして楽しむことに、何らかの答えがあるように私は感じる。嘘を嘘として、しかしなんらかの有益性を見出すことに意義があるのではないかと考えたのだ。そうした意味も込めて、サイトの名前には第二メディア通信と名付けた。現在の’第一’メディアとは違う、'第二'メディアとして、無意味の中に意味を見つける作業を読者の皆様とともに行っていければと思う。

 

文責 吉田 雄三